「800×600ドット」を表示する手段


 Eee PCの液晶で強引に「800×600ドット」を表示する手段が,あるにはある。なんというか,縦120ドット分をつぶして無理矢理480ドットの中に押し込めるような感じなのでアスペクト比は狂うが,確かに縦600ドット分が表示される。場合によっては非常に便利だ。

800×480ドット。これが標準の解像度

800×600ドット(強制表示)。まだ文字は読める

1024×768ドット(強制表示)。そろそろ常用するには厳しいか

 ただ,ちょっとリスクは高いので,読者のみなさんに手放しで勧められるようなものではない。この先に起こるかもしれないリスクを承知したうえで,何があっても泣かないと約束できる人のみ,この先に進んでほしい。あくまでも,縦が全部表示されないとちょっと困るゲームをプレイする目的「のみ」を考えて行う,一種のHackだ。
※注意!※
以下は,トリッキーなソフトウェア的改造行為だといっても過言ではない。すでに現時点でいくつかの不具合があることは判明しているし,この先も予想しない不具合に遭遇する可能性はある。それを承知で進める人のみ,実行してほしい。また,当然ながら以下は極一部のサンプルに過ぎない。以下の実行前に必ず,標準状態で自分の遊びたいゲームをインストールして試してみよう
このシンプルなツールが,Eee PCのゲーム環境を大きく改善してくれる。kkjj氏/Huang氏の両者に感謝

 Eee PCの液晶解像度を変える手法は,原稿執筆時点の2007年1月23日では2,3の手法が確立されていた。そもそもからして危険なものだし,もっとも容易に行えて,もっともリスクが少なそうに見え,割と動作確認報告が多いものを選んでみた。とはいえ,動作保証はまったくないし,筆者も4Gamer編集部も,何があっても責任は持てない。最悪の場合,Windows自体が起動しなくなる危険性もゼロではないので,心してかかってほしい。とはいえ,たいがいはセーフモードで起動して該当ドライバなりを削除すれば直ったりするものではあるが。
 まず,Eee PCの情報が山ほど集まるコミュニティサイトである「eeeuser.com」(英語)の,「Hacks and Modifications」−「EEEPC intel 915GM Virtual Resolution with Native Driver (without IEDG)」を見てみよう。直接行くのであれば,「ここ」だ。
 ここには「EEEPC Res.Utility V0.1」が登録されている。作者は,投稿者でもあるkkjj氏とJimWei Huang氏だ。Windows XPでしか使えないツールだが,起動すると小さいウィンドウが現れ,一発で「無理矢理800×600ドット表示」に変更できるようになるという,お気軽かつ効果絶大のツールなのだ。既存の手法のように“ちょっと危険な”ドライバをインストールする必要はないし,設定自体も非常に簡単だ。まずはこれがお勧めだろう。
 実はこのツール,つい先日「開発終了意志表明」がなされてしまったのだが,便利に使えることは間違いないのでここではあえて挙げておきたい。将来的には「こちら」のドライバを使うことになるかもしれないが,割とリスクも大きいので,ここでは扱うのを避けておきたい。
※1月28日13:25追記※
kkjj氏の27日の書き込みを見る限り,開発を再開した模様。1024×600ドットにも対応するとのことなので,楽しみに待ちたい。
 ところでこのEEEPC Res.Utilityの手法,Readmeにも書いてあるのだが,筆者が試した限りでは,ASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)が提供する純正グラフィックスドライバではうまく動作しなかった(ファイル名はVGA_XP_071011.zip)。ツールのReadmeに書いてある「Supported Driver」に従い,Intel純正のグラフィックスドライバをインストールしてみることにする。

 Readmeに書いてある「R2H Intel XP VGA Driver」というのは,ASUSTeKの「R2H」という製品用のドライバだ。一応試してみたところ無事に動作はしたので,入手方法だけ記しておきたい。ベンチマークをキチンと計測する時間の余裕がなかったのだが,Intel謹製より微妙に速い気がする。記事では,安心(?)を買ってIntel純正にした。
 まずASUSTeKの公式サイトに行って,上部メニューから「ダウンロード」を選ぶ。表示されるダウンロードコーナーのページで,右側の「ダウンロード一般」から
 ノートパソコン
 R2 Series
 R2H
と順に選んで緑の「検索」ボタンを押せば,ドライバ一覧の表示だ。
 Eee PCのときよりも多く,BIOSBIOS-Utilities,ATK,AUDIO……などと全13項目が表示されるが,必要なものはただ一つ,グラフィックスドライバだ。「VGA」をクリックして,「Graphics Driver for WinXP」(原稿執筆時点では,V.6.14.10.4545)をダウンロードしよう。上がWindows Vista,下がWindows XPという表示なので,間違えてWindows Vista版をダウンロードしないように。ダウンロードしたドライバを,USBメモリなりSDカードなりに解凍すれば,準備完了だ。
 なおR2Hドライバだが,そもそもがEee PC用のドライバではないので,起動時にACPI周りなどでエラーを出すことがある。気になる人は,msconfig.exeの「スタートアップ」タブで,「AsAcpiSvr」と「AsTray」の読み込みを止めておこう。

 まず,Intel純正ドライバを入手だ。初心者に優しくない書き方をするならば「Intel 910GML Expressチップセット用のドライバ最新版を,Intel公式サイトのサポート&ダウンロードコーナーから入手しよう」なのだが,製品があまりに大量でなかなか探しづらいだろうから,直リンクも掲載しておこう。「こちら」の「Windows* XP 対応インテル グラフィックス・メディア・アクセラレーター・ドライバー (exe 実行形式)」をダウンロードしてどこかに保存しておいてほしい(EXE形式なので解凍はしなくてよい)。バージョン表記は,14.25.50のはずだ。
1)まず既存のグラフィックスドライバを「コントロールパネル」からアンインストールする。アンインストールするプログラム名は「Intel(R) Graphics Media Accelerator Driver」だ
2)再起動すると,640×480ドットで起動する(アスペクト比が狂った状態)
3)当然「新しいハードウェアが見つかりました:ビデオコントローラー」と言ってドライバを入れるよう求めてくるので,それをキャンセルする
4)先ほど保存しておいたIntel公式ドライバ「win2k_xp142550.exe」を実行してインストールする

この画面で,念のため「Driver Revision」を確認しておこう。「PV 14.25.50」とあれば問題はない。このバージョン以外では,EEEPC Res.Utilityの動作確認はなされていないので,割と重要だ

ここを触ったことがある人はまずいないと思うが,このチェックはOFFにしておく

 インストール自体は,[はい]か[次へ]を押していくだけなので問題はない。一応最初に出る画面で,「Driver Rivision」が「PV 14.25.50」であることを確認しておこう。インストール終了後に再起動すれば,Intel公式ドライバ(以下Intelドライバ)が入った状態で,800×480ドットの画面が表示されているはずだ。続いて「画面のプロパティ」−「設定」−「詳細設定」−「モニタ」で,「このモニタでは表示できないモードを隠す」のチェックを外しておく。その後,EEEPC Res.Utilityを実行しよう。
 すると小さな実行ウィンドウが現れて,解像度の数値だけが書いてあるシンプルなボタンが三つ見えることだろう。ここで「800x600」を押せば,画面が数回ブリンクして,強制800×600ドットが表示される。当然アスペクト比が狂うが,Webを見たり原稿を書いたりするわけではないし,UIがまったく見えない状態でゲームをやることに比べれば,なんら問題はない。
800×600ドットを強引に表示してLotROをプレイ。このレベルの潰れ方(?)であれば,まだ文字は読める。しかしさすがにUIはいじらないと厳しそうだ

 押してみれば分かるが,1024×768ドットまで出せる。が,さすがにこの状態で何か作業を行うのはちょっと厳しい。試しに,LotROでの「Res.Utility適用後800×600ドットの画面」もデジカメで撮影してみた(キャプチャしても意味ないので)。動いている画面は,第2回目からどうぞ。
 EEEPC Res.Utilityは,小さなEXE1個だけで役目を果たすので,Cドライブのルートなりどこなりコピーして,ショートカットをデスクトップなどに作っておこう。


Eee PCは,ワールドワイドで低価格プライス販売されているせいか,ハッカー達(よい意味でのハッカー,だ。ハッカーというかギークというか)の格好の餌食(これも良い意味だ)になっている。タッチパネルを内蔵してみたり,大容量のSSDに入れ替えてみたり,GPSを内蔵してみたり,改造ネタには事欠かない。
 そんなさなか,さも当たり前のようにオーバークロックツールも登場している。設定不要で起動するだけという超お気軽ツールだ。
 お気軽とはいえ誰も保証はしてくれないので,何かあったときに絶対泣かない人だけ入れてほしいが,効果は絶大だ。計測はしていないが,当然バッテリ駆動時間は減るものと思われるし,発熱の問題も無視できない。しかしリスクを承知でやるのであれば,ACアダプタをつないでゲームをするぶんには非常に価値があるといえるだろう。
 例によってeeeuser.comの「こちら」のスレッドで,「eeelock」というツールを入手しよう。どこかに適当に解凍して,eeeclock.exeを起動するだけだ。タスクトレイに常駐するので,3段階の中で好きなモードを選べばよい。借りたマシンのBIOSバージョン0401で試した限り,ファンが回ってるなぁ,ということ以外,何の問題も起こっていない(ファンを止められる常駐ツールもあるようだが,筆者は試していないのでここでは触れない。というより,オーバークロックした状態でファンを止めて大丈夫なのか?)。
 そもそもCrystalMarkを起動してCPU情報を見ると分かるように,元々900MHzあるクロック数を630MHzまで落として動かしているのが,出荷時のEee PCの状態だ。その抑えられた分のパワーを無理矢理開放するのがこのツールで,最大まで出力(?)を上げると,元のCPUパワーで動くようになる。本ツールの3段階で,630MHz,765MHz,900MHzになるというわけだ。
 内部回路や冷却パーツが,そのクロック数に耐えられるように作られていないかもしれないので,何か問題が起こる可能性は大いにある。メインメモリのモジュールによっては,900MHz動作についてこられないかもしれない。そもそも定格で動作させていない以上,PCそのものが壊れたところで,何の文句も言えない。そのあたりを理解した人だけが試してみてほしい。
 参考までに,ザッと計測してみた結果も貼っておこう。結果だけみると「こりゃやるしかあるまい」という感じではあるが,何度も言うようにオーバークロックは「危険行為」だ。やる以上は覚悟を決めて手を出してほしい。標準状態でもそうイラつくPCではないので,やるにしても,ゲームプレイ時だけにしておくことをお勧めしておく。
 追記として,Intelドライバでオーバークロックして3DMark03を使うと,計測中にまれにオブジェクトが瞬間消える症状が出たこともお伝えしておく。ゲームテスト中には起こらなかったことだが,すべてのゲームを長時間遊んでみたわけではないので,気に留めておいてほしい。

Intelドライバでの800×480環境 with DirectX 9.0c
(ノーマルクロック:630MHz)

Intelドライバでの800×480環境 with DirectX 9.0c
(ミドルクロック:765MHz)

Intelドライバでの800×480環境 with DirectX 9.0c
(フルクロック:900MHz)

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード with DirectX 9.0c
(ノーマルクロック:630MHz)

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード with DirectX 9.0c
(ミドルクロック:765MHz)

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード with DirectX 9.0c
(フルクロック:900MHz)

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード(ミドルクロック:765MHz)
3DMark平均値:264

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード(ミドルクロック:765MHz)
3DMark平均値:325

Intelドライバ+EEEPC Res.Utilityでの強制800×600表示モード(フルクロック:900MHz)
3DMark平均値:393